STAR TOPICS 芸能エンタメニュース

毎日芸能・エンタメニュースを更新中!

​芥川賞受賞作『鳥の声2』に込められた市川沙央の力強いメッセージ

 今回は、第169回芥川賞に選ばれた市川沙央さんの『鳥の声2』について、私の感想を綴りたいと思います。

市川沙央さんは、先天性ミオパチーという難病により、人工呼吸器を使用しながらも力強く生き抜く作家さんです。彼女のデビュー作となる『鳥の声』は、文学界新人賞を受賞し、今回の受賞作はその続編です。

『鳥の声』では、井沢釈華がヘルパーの田中との契約により妊娠するという衝撃的な物語が描かれました。釈華は自らの身体を嫌悪しながらも、子どもを産むことに執着し、複雑な感情を抱く姿が印象的でした。

『鳥の声2』では、釈華の妊娠中の出来事が描かれます。彼女は子どもに対して愛情と憎悪、罪悪感といった矛盾した感情を抱き、一方で田中は彼女の妊娠に戸惑い苦悩します。二人の関係が次第に歪んでいく様子に心を打たれました。

この作品の魅力は、市川さんが登場人物の心理描写に優れていることにあります。釈華や田中の感情が細やかにかつ容赦なく描かれ、その心の葛藤が読者の心に深く刻まれます。会話や行動に込められた微妙なニュアンスが物語をより深みのあるものにしています。

また、この作品は障害者の性や妊娠といったタブーなテーマに果敢に挑戦しています。しかし、市川さんは障害者を特別視せず、彼らを普通の人間として描いています。釈華や田中は、立場や属性ではなく、一人の人間として自らの感情や欲望に向き合っている姿勢が印象的です。

私はこの作品を読んで深く感動しました。市川さんの文章は美しく、力強く、そして切なく響きます。釈華や田中の運命に胸が熱くなり、続きが気になって仕方ありません。

市川さんは自らの病気や障害に屈せず、強く生き抜く姿勢が伝わってきます。彼女の作品は私たちに、人間として生きることの意味や価値を問いかけてくれます。市川さんの今後の活躍に期待し、応援しています。

以上、私の感想でした。『鳥の声2』は、文藝春秋の2023年7月号に掲載されています。ぜひ、読んでみてください。